凛‘RIN’NIHOMBASHI MITSUKOSHI ART FAIR 三越美術110周年 ―凛― 日本橋三越美術市

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颯爽と、新時代のアートへ―凜― クロストーク
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百貨店でアートフェアを
開催する意義

池内務(レントゲンヴェルケ代表)×日本橋三越本店
美術フロアスタイリスト

美術史の最先端を感じる

池内世界の美術史は誰が作ってきたのでしょうか? 半世紀ほど前、ピカソの画商として知られたカーンワイラーは「美術史は画商が作る」という言葉を残しました。1990年代後半頃からはオークション会社がそのポジションにつき、そして今では世界中で開催される何百ものアートフェアで何千点、何万点もの作品が売買されています。こうした活況から見るに、現在はアートフェアが美術史を作っている、と考える事もできると思います。
一方で近代日本では、百貨店が大きな役割を担ってきました。最先端のモノ・コトを集めた百貨店に ―日常生活を越えた存在として― 美術品も集合するようになったのです。その流れの原点といわれる「三越の美術」は、美術界でもステータスがある存在です。
その最高峰の1つである日本橋三越本店と、世界最先端のアートフェアを接続する「凜」は、日本の美術史的にみて大事件ではないでしょうか。

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金子三越は1904年に「デパートメントストア宣言」を行い、呉服商から百貨店に転換した最初の商業施設となりました。1907年に美術部門を立ち上げて110年の節目に、そんなアートフェアを開催できることになりご縁を感じています。

池内百貨店のギャラリースペースでアートフェアを実施すること自体、これまでは考えられなかった画期的な試みです。

金子国内12ギャラリーと三越コンテンポラリーで計13ブースが出展されます。画廊を前面に出した取り組みは110年の歴史の中で初。慣習から一歩抜け出せたと思います。

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池内そして出展するのは、クオリティを担保できるギャラリーばかりです。美術におけるクオリティとは、ひと言でいうと「どれだけ長く楽しめるか」。安土桃山時代の1つの茶碗が400年以上も愛されているように、いつまでも飽きさせない、人を引きつけるエネルギーを帯びた作品が集まるはずです。ギャラリーごとに個性があり、セレクション自体に、ギャラリーオーナーの“署名”を感じていただけるでしょう。

金子三越美術にとってはホームグラウンドでのアートフェアですが、あくまで1ブースとしての出展です。お客様に各ギャラリーの比較を楽しんでいただける中で、われわれ自身も恥ずかしい展示はできない、との思いでおります。新しい取り組みの機会に、初めて6階美術フロアに足を運ばれるお客様や、各ギャラリーのファンの方もご来場いただくきっかけになればうれしいですね。

より身近に、
ファッショナブルに

高木そうした意味では今回の「凜」を起爆剤に、「三越で面白いことが起こっているんだ」と、一般の方にもっと知っていただけるのではないかと期待しています。これまでは、百貨店の中でも美術品のフロアは敷居が高かったところがあって、その敷居を良い意味で壊したいという気持ちがあります。
「まだ美術品フロアに行ったことがない」というお客様に気軽に来場いただき、まずは「美術って、アートってこんなものなんだ」と感じていただけたらうれしいですね。

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池内フォーマルのスーツ、パーティドレスを選ぶような感覚で美術作品を選ぶという時代になれば素敵ですよね。衣服は身に付けるという単純な機能から始まり、個性を表現するファッションに進化してきました。美術作品もそのものの魅力と同時に、所有を通して自分を表現することができるものと考えます。

石川これまで「アートは難しい」というイメージがあり、日常から遠いもののように思われがちでした。実際に触れると、予備知識がなくても「アートは面白い」と感じさせる作品が多いのです。アートを日常的に、気軽に楽しめるものにしたいという思いを、三越メンバーは共通して持っています。

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実相寺百貨店は多種多様な“百貨”を扱うからこそ百貨店なのだ、というのが私の持論です。日本橋三越本店の扱う作品はオーセンティックな美術作品が8割を占めています。これからはその土台の上に、コンテンポラリーな作品や「明治期の超絶技巧」のような新しいジャンルも充実させて、いつも新鮮な感覚を味わっていただけるようにしていきたいのです。そのためにアートフェア「凜」がターニングポイントになればいいですね。

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池内自動車メーカーのコマーシャルで「変わろう。変わらないために。」というキャッチフレーズがありました。美術に関わるうえでも、とても意味がある言葉だと感じています。
従来通りのことだけ続けていては、時代の変化から取り残されてしまいます。守りたいものがあるからこそ、周囲と同時に、自分も変化していかなければならないのです。
今回の「凜」も、三越美術部が110年培った「お客様」「美術」「百貨店」の距離感の中に ―百貨店の良い意味の品格を残しながら― 新しい要素を加えてアジャストしていく取り組みなのですね。

金子「凜」というタイトルは颯爽とした立ち姿を連想させますが、三越として110年の節目のアートフェアを行うにあたって、池内さんから「品格」を表現する言葉が大切とアドバイスを頂いたのが始まりでした。作家さん、ギャラリーの方々、そして三越も一緒になってその姿を表現できれば。

池内美術は実際に作品を見ること、知ること、触ること、道具であれば使ってみること。それを繰り返すことで見る側も、売る側も鍛えられていきます。三越ならではのエレガンスとグレード感のあるアートフェア「凜」が、より大勢の方々に美術に触れていただく機会となればいいですね。

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池内務(いけうち つとむ)氏 写真:真中
「三越美術110周年 -凛- 日本橋三越美術市」アドバイザー。
本展では、現代美術の画廊「レントゲンヴェルケ(Röntgenwerke AG)」としても出品。
1964年東京都に生まれる。玉川大学文学部芸術学科演劇専攻卒業。
株式会社レントゲンヴェルケ代表取締役。女子美術大学非常勤講師。
1991年以来、都内での作品販売を中心に、国内外にて美術に関わるビジネスを展開。
金子弘幸(かねこ ひろゆき) 写真:右端
株式会社三越伊勢丹美術商品部商品担当マネージャー。
2006年入社。日本橋三越本店美術部(当時)、JR大阪三越伊勢丹などを経て現職。
本展では、企画担当として携わる。
高木啓伍(たかぎ けいご)写真:左端
日本橋三越本店呉服美術ソリューション営業部絵画担当アシスタントセールスマネージャー
2009年入社。日本橋三越本店婦人雑貨営業部を経て、美術部に異動。
本展では、販売担当として携わる。
実相寺利昭(じっそうじ としあき)写真:左から2人目
日本橋三越本店呉服美術ソリューション営業部工芸担当アシスタントセールスマネージャー
2009年入社。日本橋三越本店紳士営業部を経て、美術部に異動。
本展では、販売担当として携わる。
石川嵩紘(いしかわ たかひろ)写真:右から2人目
日本橋三越本店呉服美術ソリューション営業部付アシスタントマネージャー
現代アート画廊勤務を経て、2015年1月株式会社三越伊勢丹入社。日本橋三越本店美術部を経て現職。
本展では、企画立案者として全体を監修。
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